宇宙の中の物体がどのように生じたかを研究

マサチューセッツ州ケンブリッジにある天体物理センターではIRIS Explorerを使用して、宇宙の起源と進化について研究しています。マサチューセッツ州ケンブリッジの天体物理センターに籍を置く理論宇宙学者であるUe-Li Pen博士は、宇宙の起源と進化を非常に大規模なコンピュータシミュレーションを行ない研究しています。このセンターはハーバード大学観測所とスミソニアン協会によって運営されていますが、その中の彼のオフィスとラボでは、彼とその同僚により天体物理学の全ての分野においての研究を行なっています。 Pen氏は宇宙の起源と構造を専門としていますが、その中でも特に宇宙の中の物体がどのように生じたか(宇宙自体がどのように生じたかではなく)についてを専門としています。彼はこのような研究が、「星がなぜ存在するのか」、「銀河がなぜ存在するのか」、「私たちはどこから来たのか」などの伝統的な質問に対しての科学的な理解を深めると説明しています。
Pen氏は可視化ツールとして、DEC 300上で稼動するIRIS Explorerを選択しました。
Pen氏は以下のように言っています。「私たちの研究ではガスの発達とN-Bodyシステムの3次元シミュレーションを行なっています。N-Bodyシステム(衝突の無い粒子のシステム)は、宇宙の暗黒物質を構成していると考えられます。これらは三次元シミュレーションであるため、洗練されたソフトウエアが必要です。」
ソフトウエアはこの研究チームで扱う大きなデータセット(1283カーブリニア格子データ)を扱えるほどに洗練されていなければなりません。またこれらのソフトウエアは、彼と彼のチームにより作成され、他のマシン上で実行された後、結果データセットをIRIS Explorerを用いて処理します。この時点で、nAGのソフトウエアは3次元データの可視化に役立ちます。
彼らがシミュレーションを行なうボックスの大きさは100メガパーセックほどです。最小のデータセットは約10メガバイトです。Pen氏は「3億5千万光年先まで見える望遠鏡を覗いているようのものである」と言っています。(以下引用部分原文: It's as though we're looking through a telescope that can see 350 million light years. )
Pen氏はIRIS Explorerを主に「宇宙がどのように進化したかの理解を助ける用途」に利用しています。その他にも「数値実験」と彼のチームが呼んでいる事や、データセットとプログラムのデバッグに役立つ事を見つけました。
IsosurfaceContourなどのルーチンを使用しハーバード研究グループは、非常に大きく、且つ速いスピード(光速よりも速く)で移動できる宇宙船を造りました。彼は以下のように言っています。「私たちは宇宙旅行者のように実際に深宇宙へ移動することができます。宇宙の進化を望遠鏡でみる事は難しい事です。しかしIRIS Explorerの利用は、私たちの宇宙シミュレーションにおいて望遠鏡が利用できるようなものです。私たちは外宇宙へ仮想的に飛んで行き、物事の調査が行なえます。」
彼は「このような研究では可視化ソフトウエアはインタラクティブでなければなりません」と言っています。彼は研究者が可視化しているデータを操作できる必要があると考えています。広い領域を見たい場合もありますし、一部分を見たい場合もあります。ビューポイントの変更も簡単にできる必要があります。
彼は今、銀河団のコアサイズについての研究をしています。彼は銀河団とは数百の銀河の集まりであると言っています。これらの銀河団にはコアサイズがありますが、正確なサイズは研究チームのコアシミュレーションを実行するまでわかりませんでした。「銀河団のサイズをIRIS Explorerを用いて計算できることはすごい事です」と彼は言っています。
3次元可視化ソフトウエアを用いて行なうその他の仕事で興味深いものに数値実験(numerical experimentation)があります。これにより、宇宙物理を変更する制御実験の結果をコンピュータスクリーン上で見る事ができます。
Pen氏によれば、彼が調査した他のソフトウエアでは、この数値実験の機能が実現できませんでした。多数のパッケージで静的なプロット処理しかできず、与えられたデータセットを指定の形で投影する事しかできません。
さらに、他の可視化ソフトでは3億5千万光年を見るようば規模のシミュレーションを行なうことができません。
精度はこのような研究において非常に重要です。IRIS Explorerには精度と信頼度で知られるnAG数値計算ライブラリでのアルゴリズムを利用したモジュール群が含まれています。これらのライブラリを使用する事により、開発者は労力が軽減され、他の部分での可視化処理に集中する事ができます。ユーザは全てのモジュールが様々なアプリケーションで使用されている事に自信が持てます。それに加え、ライブラリはドキュメント作成にあたりリファレンスとして利用できます。
「世の中には多くの可視化パッケージが存在し、私は有名なものからそうでないものまで多数を調査しました。私たちにとって決定的な要因はIRIS Explorerの価格と操作性です。IRIS Explorerはパワフルでありながら基本的で特定の研究用に特化されていません。」
天体物理センターのチームはその情報を広く公開しています。彼らの研究と可視化は論文、天文関係のカンファレンス、天文関係の機関、American Astronomical Societyで頻繁に発表されています。
IRIS Explorerはチームの研究のスピードを速めるとともに、素人に対して彼らの研究結果を簡単に見せる事ができます。「IRIS Explorerなしで、私たちの研究を説明するのは大変です。」